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「おい。タスケ。何を聞いてるんだ?」
と、部屋でヘッドホンで音楽を聞いている
タスケにタイチが言う。
「ああ? 『つけま』だよ。『つけま』」
と、タスケが言う。
「なんだそれ。それ?」
「きゃりーぱみゅぱみゅだよ。」
「きゃりー…?」
「あ”ーもー、じじいはうっせぇなー。
きゃりーぱみゅぱみゅだよ。
まじぱねぇんだよ。」
「ぱねぇ…?」
「もう、どうだっていいだろ?
じじいはあっちいってろよ!」
タイチは中学生になる孫のタスケが
何をいっているのかわからなかったが、
三つの単語を覚えた。
ひとつは、『つけま』。
ふたつめが、『きゃりーぱみゅぱみゅ』。
みっつめが、『ぱねぇ』。
タイチは自室に戻り、最近、息子の
お下がりでもらったパソコンを起動する。
起動時間に5分はかかるWindows 2000が
インストールされているパソコンだが、
もう70を超えているタイチにはその時間が
苦にならない。
タイチはタスケが言っていた単語の中でも
すぐに忘れてしまいそうになる単語を
つぶやきながらパソコンが起動するのを待つ。
「きゃりーぱみぱみ…」
「…」
つぶやきながら、パソコンデスクの脇に
置いてある老眼鏡をかける。
「ぱみゅ…」
「…」
「ぱみゅ…」
Windows 2000が起動した。
タイチはマウスを掴み、"インターネット"と
書かれたアイコンをダブルクリックする。
白髪頭を掻きながら、緩慢な動作で、
"お気に入り"をクリックし、
"YouTube"をクリックする。
検索欄に忘れない内に
『きゃりーぱみゅぱみゅ』
と、平仮名入力で入力する。
画面の一番上に出てきた、
『きゃりーぱみゅぱみゅ - つけまつける 』
という画面をクリックする。
「『つけま』は、これだな…」
音楽のプロモーションビデオが流れる。
続けて、"お気に入り"をクリックし、
"Google"をクリックする。
検索欄に
『ぱねぇ』
と、平仮名入力で入力する。
画面の一番上に出てきた、
日本語俗語辞書をクリックする。
タイチは老眼鏡を外し、目をつむり、
両目を手で抑える。
それから軒下に座り。
「きゃりーぱみぱみ、ぱねぇな。」
「…」
「ぱみゅ…」
「きゃりーぱみゅぱみゅ、ぱねぇな。」
とつぶやく。
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春の嵐到来。
21時頃、雨があがったので、
コンビニまで歩いたら、雲が晴れて、
月が出ていた。
先週辺りから、毎晩、
月がきれいに見えている。
穂村弘に軽くしっとした。
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大学生の頃。
お付き合いをしていた女性がいて。
ひとつ、年上の女性で。
彼女がある日。
「ナンバーガールというバンドがいいよ!」
と、突然僕に云ってきて。
その唐突な「ナンバーガール」という
聞きなれないバンド名を聞き。
ははぁん。
こりゃどこかで仕入れてきた単語ダナ?
と勘ぐった僕は、
「あ、そうなんだ?」
と、しれっと興味のない素振り。
をして、こっそりと。
"SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT"
というCDを買って、聞いた。
折しも桜の季節。
"桜のダンス"という曲が好きになってしまった。
後日、軽音楽部の友人が。
案の定、お付き合いをしていた女性に
ナンバーガールを紹介していたということを
小耳にはさみ。
ははぁん。案の定。
分り易すぎるぜと、いひひ、とひとりごち。
彼女にナンバーガールを紹介していた友人は
ドラマーだ。
最近、どうも彼女が。
ドラマーが云々談義をかまけてくるから
スワッ、何故? とスカした顔をして
聞いていたが、ここからかと。
だがしかし、僕はしれっと。
ナンバーガールなんてバンドは
知らぬ存ぜぬそぶりを決め込んだ。
というのがナンバーガールを聴き始めた
きっかけで。
トーキョーの桜が開花した昨今。
"桜のダンス"を聞くために、そのときに
購入した、
"SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT"を
聞くのであったとさ。
トーメーショージョもスキ。
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